風邪薬(総合感冒薬)のリスク→排尿できなくなりますよ

だいぶ寒くなりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。そろそろ風邪がはやり始める季節になりました。前立腺肥大症と言われている方や、尿の勢いが悪い男性には是非注意していただきたいことがあります。それは安易に総合感冒薬を飲まないこと。内科などで処方していただく際は、排尿困難があることを医師に伝えることです。

それは、何故でしょうか。実は総合感冒薬を飲むと、尿の勢いが悪くなることがあります。最悪の場合は尿が全くでなくなります(医学的には尿閉といいます)。当院でもすでに他院で処方された感冒薬内服後に尿閉となった患者さんが来院されました。これは本当に苦しいです。

少し専門的になりますが、理由について解説します。鼻水を抑える作用のある抗ヒスタミン薬、去痰作用のあるエフェドリンが、排尿に悪影響を与えます。

  • 抗ヒスタミン薬は、アセチルコリン受容体にも結合してしまい、抗コリン作用を呈します。これは排尿筋を弛緩させ尿を出にくくします。
  • エフェドリンは交感神経を刺戟します。気管支では拡張作用があり、去痰作用を呈しますが、前立腺部では平滑筋を収縮させ、尿道を狭くします。

以上のような理由で、排尿困難になります。 いずれにせよ、総合感冒薬を飲むと尿の出が悪くなることがあるということは、頭の片隅に入れておいてよいと思います。

外来では、口をすっぱくしてお話しているのですが、意外と知らない人も多いようですので、参考にしてください。