医薬品副作用被害救済制度とは

「医薬品副作用救済制度」長いですけど、皆さんは聞いたことがあるでしょうか。
 医薬品(病院、診療所で処方されたものの他に薬局で購入したものも含まれます。)を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定レベル以上の健康被害が生じた場合に、医療費等の諸給付を行うものです。製薬会社の拠出金が財源です。

 副作用救済給付の対象となる健康被害は、昭和55年5月1日以降に医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による疾病(入院を必要とする程度のもの。)、障害(日常生活が著しく制限される程度の状態のもの。)及び死亡です。
 抗がん剤などは対象外で、用法容量が不適切な場合は認められないこともあるようです。

 厚労省によると、2007年~11年度に医薬品を服用した患者が副作用による健康被害を国に訴え、国が救済するかどうかを判定した件数は計4880件。うち、14%にあたる663件で救済が認められなかった。救済を認めなかった理由として、「医薬品が原因とは認められない」が45%とトップ。次いで「使用の目的や方法が適正とは認められない」が23%を占めた。3番目に多かったのは「健康被害が軽度」で19%だったそうです。

 この制度自体の認知がまだまだ高くないのが原因ですが、もっと利用者が多くてもいいような気がします。重篤な副作用が起きないよう、十分注意して診療を行っていますが、ある程度の頻度で副作用はおきます。市販の風邪薬や、一般的な抗生剤でも重篤な副作用は、頻度は少ないながら起こりえます。お金だけの問題では、もちろんないのですが、こういった救済制度があることは知っておいたほうがよいでしょう。

http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

風邪薬(総合感冒薬)のリスク→排尿できなくなりますよ

だいぶ寒くなりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。そろそろ風邪がはやり始める季節になりました。前立腺肥大症と言われている方や、尿の勢いが悪い男性には是非注意していただきたいことがあります。それは安易に総合感冒薬を飲まないこと。内科などで処方していただく際は、排尿困難があることを医師に伝えることです。

それは、何故でしょうか。実は総合感冒薬を飲むと、尿の勢いが悪くなることがあります。最悪の場合は尿が全くでなくなります(医学的には尿閉といいます)。当院でもすでに他院で処方された感冒薬内服後に尿閉となった患者さんが来院されました。これは本当に苦しいです。

少し専門的になりますが、理由について解説します。鼻水を抑える作用のある抗ヒスタミン薬、去痰作用のあるエフェドリンが、排尿に悪影響を与えます。

  • 抗ヒスタミン薬は、アセチルコリン受容体にも結合してしまい、抗コリン作用を呈します。これは排尿筋を弛緩させ尿を出にくくします。
  • エフェドリンは交感神経を刺戟します。気管支では拡張作用があり、去痰作用を呈しますが、前立腺部では平滑筋を収縮させ、尿道を狭くします。

以上のような理由で、排尿困難になります。 いずれにせよ、総合感冒薬を飲むと尿の出が悪くなることがあるということは、頭の片隅に入れておいてよいと思います。

外来では、口をすっぱくしてお話しているのですが、意外と知らない人も多いようですので、参考にしてください。